もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
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■■■■■■■■■■週刊
■■■■■■■■■■デザインジャーナル244号
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■■■■■■■■■■2007年10月29日(月)発行
■■■■■■進む原田
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目次
0 ・・・・・・・まくら
1 ・・・・・・・「〜できる人の心理テクニック」
2 ・・・・・・・皆で作ろう「ウィキペディア」百科事典  
3 ・・・・・・・危機だ危機だって言うだけじゃ・・・「中年期危機13」
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■  ■   まくら
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●たったの2時間!

定期検診に行った○○大学病院の待合室に、
「予約変更などのお電話は午後2時から午後4時の間にお願いします。」
とワープロで打ったものがはってありました。
もう一度見直しました。間違いじゃありません。
電話していいのはたったの2時間。
それ意外の時間でも受け付けてはくれるのでしょうが、
このお知らせがあるから不機嫌に対応されても文句は言えないわけですね。
この病院には4年通っていて、電子システム導入で会計で待たなくなったなど、
ずいぶんサービスはよくなっているのですが、
職員のサービスマインドはまだまだのようです。

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●前回「色を変えるだけで」に関して
○○さんからメールいただきました
○○さんは食品工場の衛生効率などのコンサルタントです
内容はまさに色彩心理学の世界です。
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以下○○さんのメール

食品工場の床の色を、低温の工場内だと、薄い黄色やオレンジ色にすると、
体感があたたかく感じます。
惣菜など、加熱をする工場内は、かなり暑くなるので、薄いブルーなどにすると、
少し涼しく感じます。
壁、天井は、白にします。そうすると、同じ照明でも、明るくなります。
明るくなると、食品への異物混入の発見に繋がります。
床に色をつけるのは、一番清潔にしなければ行けない所と、
野菜を箱から出して洗うなど、そうでもない所とを、環境の色で区別する為です。
薄い色にするのは、汚れが目立つようにするためです。
色と建築、デザインは密接なつながりがありますが、体感や安全性にも関係してきますね。

以上○○さんのメール
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●前回の「ブータンの国民総幸福量」で
○○さんからメールをいただきました
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以下○○さんのメール

幼いころすごした、九州の外れの港町では、単に「貧しい=不幸せ」とはちがって、
別のところに幸せを満たしている係数「何か」が確かにあったと思います。
何だったのでしょう?(世間全般貧しかったから、ともちょっと違って)
船大工だった父親は、病に臥すことが多かったのですが、
歌好きの母親は、夕食の支度をしながら歌謡曲をうたってましたね。
当時の私の実家は、平均点ならきっと、50/100以上の幸せ量はあったろうな、と思います。

以上○○さんのメール
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原田進の感想
子供時代、我が家に平均以上の幸せがあったと、言える幸せもあるんですね。
実際はご両親の大人の世界では色々あったと思いますが、
「夕食の支度をしながら歌謡曲」のカットは幸せの象徴でしょう。
貧乏-金持基準でない別の「幸せ係数」がたくさんわかるといいですね。
「子供時代は幸せだった」「いや不幸だった」の分岐点は、
経過時間も関係しているようです。
人は、辛いことを忘れ、楽しいことを覚えているから、
「思い出」の幸せ係数が増すのかもしれません。
私が30代までは「自分の子供時代は暗かった」と信じていましたが、
今は明るい部分だけが断片的に思い出され「けっこう楽しいこともあった」になり
私も総合評価で50/100以上の幸せ量はあったろうなと感じています。

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  ■    「〜できる人の心理テクニック」
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「仕事ができる人の実践心理テクニック」(2007)日経BPムック
が市ケ谷の本屋の店頭に2列にうず高く平積みしてありました。
黒い表紙に大きい文字だから目立ちます。
「仕事ができる人の段取り」「仕事ができる人の心得 」「 仕事ができる人の話し方」
「仕事ができる人の習慣」・・・と仕事ができる人シリーズが流行っていますが、
ついに「できる人」の条件に心理学が加わったというわけです。
 この本を買う人の心理は「競争相手に先んじて心理テクニックを学びうまく人を操って出世してやれ」か、
そこまでいかなくても「他人の心理テクニックに操作されて損しないように準備しておこう」くらいはあるでしょう。
「もてる男(女)の心理テクニック」なんてのもたくさんあります。
 
 この理屈では「心理専門家は仕事ができ、異性にもてて、まわりとの人間関係はうまくいっている」
ということになりますが、そうじゃないことは心理専門家自身が知っています。
心理専門家が集ま場所は、かえって人間関係がピリピリなりがちです。
センサーが鋭敏になっているのでよけいに陰湿になるのかもしれません。
 といった経験から、セラピストや心理学者などの心理専門家は、
「心理学を応用した心理操作で出世でき儲けられる」なんてことは信じてません。
だから心理学者が「心理学で儲け、出世し、異性にもてる」といった本を書けば、
心理学の師匠や、心理仲間のヒンシュクとヤッカミをかうので、それが怖い人は書かないはずです。

 「心理学を知っている=有利である」は必ずしも一致しません。
テニス仲間から「心理学を勉強しているから敵の心理を読み取るんだろう」と言われても、
いかんともしがたい腕の差と、元々デリケートで緊張するとサービスも入らなくなります。
「リーダーシップに『心理学』を生かす」ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集) ダイヤモンド社
といった本は、真面目な内容ですが、社員に誤解されると困るので机の中に隠しています。
しかしこの本の帯に書いてある
「リーダー特有うの深層心理とは・・・組織の心の病を避けるには・・・・
共通の目標に向かって結束する心理の力・・・個と全体のマネジメントに『心理学』を援用する」
を読むと、リーダーシップと心理学のつながりが感じられます。
応用ではなく援用するというのがいいですね。

 心理操作テクニックという言葉が曲者ですね。
催眠誘導の応用と勘違いされますが、それは特殊な状況と装置と儀式を必要とするので、
一般の場所では行われません。
人は他人に操作されることを警戒しているので、一度は騙されても二度もその手は使えません。
販売などで「褒めて気分良くさせてこちらの望むことをやらせた」
つまり「乗せる」ということはよくあります。(心理操作というには常識的だが)
でも「乗せられた」と後でわかったら、怒りで二度と来ませんから結果は悪くなります。

 「仕事ができる人」は他人の心を読む力と、他人の心を尊重する姿勢があるのは事実です。
アメリカの成功者を調べたら15才以前に社会に出て苦労した人が多かったというデーターがありますが、
敏感な少年時代に社会にもまれれば、心理学の理論を知らなくても人の顔色を見る力は自然につきます。
人の顔色は、人の感情と欲求のリトマス試験紙ですが、
同時に自分の顔色もモニターできているのではないかと思います。
「この人今、怒りが70%に上がったな、それに対して自分の不安が50から90%に上がったが・・・」
と時間経過にそってモニターできているのでしょう。
よく、心理療法を勉強している人が「今とても怒りを感じている自分がいます」という言い方をします。
もう一人の自分が横にいて、自分の感情と考えを観察してモニタリングしている感覚です。
メタ認知とも言います。
あるいは「怒りを感じているその自分が情けない」という「情けない」を2次感情と言います。
心理に興味を持ち理論を学ぶことは、自分の感情モニターしながら理性で処理する、
同時に相手の感情をモニターして(観察、予想して)理性=考え方に働き掛ける(心理介入する)
ことをライブでやれるようになるメリットがあるかもしれません。
しかし、先に、他人より観察しやすい自分が研究対象になるでしょう。
「心を耕す」とか「心の知能指数(EQ =情動知能)を高める」とか言ったりもします。

 先日亡くなった心の専門家の大御所、河合隼雄先生が、
別の心の大御所、増井武士先生の「こころの整理学」(1999)の書評のなかで、
「臨床心理学が専門とか、心理療法家であるとか言うと、『怖い』と言われることがある。
顔を見るだけで、どんな人間か『わかってしまう』のだから怖いというわけである。
そんなとき私は、人間の心などわかるはずはありませんと言ったり、
専門になればなるほど『人間の心はわからない』ことがわかるのです、と言ったりする。
それよりも、わかろうとしたり、わかったと思ったりするのは危険ではないかと思っている。
・・・・結局のところ、人の心はいかにわからないか、
そして、その『わからない』ということを大切にすることから、
まず心理療法がはじまることを述べている。
理解は大切であるが、焦ったり、『わかった』と思ってしまったりすると失敗する。」と書いています。
他に河合先生は同じことをあちこちに何度も書いてらっしゃいます。

  心理学(臨床心理)の世界は「相手のことにおかまいなく、自分のよいようにもっていく」といった
「ビジネスや恋愛のための心理操作テクニック」からは相当遠いところにあります。
しかし、心理学で、心を耕せば土壌が肥沃になり、豊かな穀物(=幸福感かな?)が生い茂る、
奥が深く、面白く、多くの人を虜にする世界にはちがいありません。

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   ■      
   ■     皆で作ろう
 ■■■    「ウィキペディア」百科事典
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 知りませんでした。
 メルマガでいつも世話になっているインターネット百科事典の「ウィキペディア」が、
皆で寄ってたかって作られているものだとは! 社員は全員知っていました。
あれって、いきなり自分で書き換えたり書き足したりできるんですね。
どこかの権威者が書いたものに対し、私でも「うんにゃそうじゃない」と書き換えられる。
ということは何秒後かには他の人に「そうじゃないだろ」とまた書き換えられるわけです。
人に関する記事だと、その人が何か事件や騒ぎを起したら、
誹謗中傷や、弁解、弁護などで収集がつかなくなるので、
書き込めないようにしばらくロックがかかるそうです。(H君談)
公の場にほったらかしにしてあって、皆で寄ってたかったて仕上げていくのを
「オープンソース現象」「コストゼロ空問」といいます。
「リナックス」の開発が有名ですね。リナックスはさすがに誰も彼も参加とはいかないようです。
「ウィキペディア」は2001年1月にスタートしたばかりですいが、
すでに『エンサイクロペディア・ブリタニカ』の10倍以上の87万項目(英語版)
(日本版も2005年末時点で16万項目以上に)に膨れ上がっていて、
まだまだネット増殖中なわけです。
素人も書き入れるので正確さに不安があり、研究論文には使えませんが、
なにしろ無料、早いで、とりあえず知るのには十分です。
これから百科事典のを買う人は、立派な書斎をもった金持ちか、図書館くらいでしょう。
「量(永年にわたる集合知の成果)が質を凌駕する」とはこのことでしょうね。

 自分で言葉も説明も入れられれば、当然自己宣伝なんていうことも考えられます。
自分の会社名や自分の名前を書いて、あることないことりっぱなことをかいて、
知名度とイメージを高める方法もあるわけです。
と書きながら、自分の会社は?と頭をかすめましたが見る勇気はありません。

 実際どのくらい信用できるかということで、
わざと間違ったこと書き込んで実験した人もいます。
誰もが知っている項目は数時間のうちに修正され、
目立たない言葉は5日間たっても気づかれず修正もされなかったそうで。
 もう一つの実験はわざとへたな文章を出して「修正お願いします」をやったら、
最初の24時間で224回、次の24時間で149回の書き換えが行われ、
皆にわかりやすい文章に直ったそうです。

参考文献:梅田望夫(2006)「ウェブ進化論」ちくま新書
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   ■   危機だ危機だって言うだけじゃ・・・
 ■■■   じゃあどうすりゃいいんだよ
   ■   「中年期危機13」
   ■  
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 お待たせしました。いよいよ本論です。
これまで中年期の身体の問題、心の問題、仕事の問題、家庭の問題について書いてきました。
何を言ってきたのか? 中年期は一種の危機だってこと。
危機が大げさなら「変化期」と言ってもいいですが、先行きの見えた変化です。
若い時の「変化期」は達成や勝利や改善といった「先行き期待」がありました。
しかし中年期の「変化期」は、勝算が余り見込めない変化です。
いやはっきりいうと中年期の先には「死」という「負け」が見えています。
「中年は安定したものだ」「中年期は動揺しなはずだ」という
中年期以前に持っていたイメージのままでは心身がやられてしまいます。

 昔の中年はあまり「泣き言」を大声で言わなかったのではないでしょうか。
貧困や戦争でそれどころではなく、「中年まで生き残って儲けもん」と
それなりに満足していたのでしょうか。
あるいは「男は泣き言はタブー」と表現できなかったのかもしれません。

 昔は55才で定年退職し、還暦になると「老人」になっていたのかもしれません。
伯父は大牟田市役所で局長まで出世した偉いさんでしたが、
定年後は見るからにしおれた菜っ葉のように見えビックリしました。
ところが今の還暦はどうです。
仕事しているし、ちょい悪おやじもいれば、何か一つは好きなことをやっています。
食べ物も医療技術もよくなり寿命が延びたから感覚が変わりました。
心理学の発達理論でも成長は若い時だけという考え方から、
死ぬまで成長(変化)し続けるというのが定説です。
だから孔子の「40にして惑わず」はウソです。
強いて言うならば「70にして惑わず」でいいでしょう。

 ちょっと話はずれますが、
私は中年になるまで「男はつらいよ」の寅さんが、何がつらいのかよくわかりませんでした。
「テキ屋」という手に職があり好きな時に好きな旅に出る自由人。
心を寄せた美女にいつもフラれるのは、彼が言い寄らないこともあります。
恥ずかしいから?醜男コンプレックスがあるからか?
歳の差を考えて中途半端な大人の分別(大人の男は若い女を護るものだ)で言い寄れななかった?
恋愛が成立しなければ、家がもてないから、そのまま根無し草です。
定住できない「テキ屋」という職業も中年期にはだんだん不安になってきます。
寅さんは心で泣いていたから「男はつらいよ」だったのです。

中年期危機は何をどうすればいいのか?
 病名がわかると人は安心します。
病名がついているということは、対処療法が研究されている可能性が高いからです。
「中年期危機」は病名ではありませんが、うつや自殺、中毒などを引き起こす
「中年期危機症候群」(まだこの言葉はありません)として対処モデルをまとめることができます。

 身体の方は、タバコ酒を控えるとか、塩を減らすとか、休むとか、運動するとか、
生活習慣を変えてゆけばいいのですが、「わかっちゃいるけどやめられない」のも中年の特徴で、
そうなると、心理的な対処療法も同時に必要となるのです。

 心理的な対処療法は「アイデンティティの再構築」です。
切り口としては「これまでの整理」と「新たなテーマの模索と再定義」
で新たなテーマとして「世代性」を上げたいと思います。
新たなテーマは「宗教に凝る」「ボランティアに没頭する」「商売に身を入れる」
「技術をより磨く」「もっとお金を貯める」など沢山ありますが
人間の有限性を悟り人生の空しさがわかるのが中年期ですから、
次の世代を育てようとする「世代性」に目覚め意識した方がよさそうです。
では次回。
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