もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
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■■■■■「デジャ」
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■■■■■■■■■■週刊
■■■■■■■■■■デザインジャーナル255号
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■■■■■■■■■■2008年5月15日(木)発行
■■■■■■進む原田
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目次
0 ・・・・・・・「まくら」
1・・・・・・・・中年期危機は「世代性」で切り抜ける 
         保存版
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●DoCoMoのロゴ

DoCoMoのロゴが新しく小文字だけのdokomoになりましたね
ほんとうにどこにもあるシンボルイメージになりました。
よく言えば、肩の力が抜けた可愛らしいデザインです。
これまでのDoCoMoのロゴのデザインは、私のもといたPAOS社がやり、
半独立状態だった私も影ながらアイデア参加したので消えるのが寂しいです。
あのころはNTT移動通信網株式会社といって、
携帯がこんなになるとは考えていませせんでした。
「皆DoCoMoって知ってる?」の時代から「持ってて当たり前、生活の必需品」
という成熟の時代に入ったということでしょう。
そういう目で見ると、これまでのイケイケダイナミックロゴが、
味が濃過ぎてうっとうしくなったのかもしれません。
でもまだまだ競合2社とパイの分捕り合戦が激化しているわけで、
ロゴシンボルがこんなにおとなしく収まっていいのか?
という気もしないでもありません。

●10万円のPRADAの携帯電話(日経5.9)

まあ、べつに10万円でもいいんですけど。
イタリア有名ブランドPRADA様のおやりになることですから。
おととい銀座PRADAの前を通ったら大型ポスターで宣伝していました。
メーカーは当然SONYとおもいきや韓国のLG電子
タッチパネルが全面のデザインはiPod touchに似ていますが
はっきり言ってデザインは負けていて(統合・一貫性に欠ける)
PRADAらしくないデザインです。

●新潟で花粉症に

先週、新潟に2日間いたら鼻がグズグズになってしまいました
前の晩にもう一人別の花粉症の人と「おっかしいなー」と言っていたのですが、
次の日に明るくなって周りを見たら杉林に取り囲まれていました。
山の上にはまだ雪が残っているので、東京と花粉の時期がずれてたんですね。

●前回の「自律訓練法」に関して
○○さんからメールいただきました
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以下○○さんのメール
 大分昔に「自律訓練法」を雑誌で見て、
試してみたけど嘘っぽくて続かず(なめていたクチですね)、
その後、社会人になってから学んだ大学の心理学の授業で同じ方法が出てきて、
教科書に載っているくらいなら、と寝る前に軽い気持ちでやってみたところ
深い眠り&心地良い目覚めが得られた気がしました。
 その後もしばしば眠りに着く前のひととき、ベッドの中で訓練(?)しています。
「体が重くなる」というところは右腕、左腕、右足、左足の順に重くなっていく方法で
やっていますが、右腕が重くなった時点で眠りに落ちてしまうこともしばしばです。
以上○○さんのメール
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原田の返事
たしかに自律訓練法は睡眠導入剤かわりになり、私も眠れない時によくやります。
しかし今度、座って眠れない姿勢でやってみてください。
なにしろ瞑想やヨガや座禅中にも出るアルファー波は、
寝てもいない、起きてもいないときに出る脳波ですから、
眠ってしまうとその効果が持続しません。
アルファー波は赤ちゃんにも多く出ていわゆる無心に近い感覚で
このときに、休息と創造性(相反するようですけど)が得られるといいます。
芸術家はますます能力が磨かれ、“うつ”の人は「ふーっと休まって・・・・そうだ!」
となる可能性が高くなるということです。

それと言い忘れてましたが・・・・・
●自律訓練中は目をつぶって何を視覚イメージしたらいいか?

内山喜久男先生に教わったのは、真っ白な壁の前にいるイメージとか、
青い空と遠い山と広い田園風景とか、自分にとって一番心地よい環境ということでした。
つまり「モニターの壁紙」みたいな心地よい風景を持つのです。
そんなに何枚もいらないと思います。私は1シーンです。
あったかい日差しと(イメージ温度)とヒバリの声(イメージ音)と
そよ風(イメージ触覚)がセットになっています。
こういったことも自己暗示の重要な要素になるのでしょう。

ついでに思い出した・・・・・
●内山喜久男先生

日本の行動療法の有名な先生で心理界の大御所であり、
私が卒業した日本カウンセリングカレッジの校長です。
授業で内山先生から「自律訓練法」を教わったのですが、
2回目の授業は嵐の夜で生徒は3人しか来てませんでした。
1人は1回目来てなかったというので、
私ともう1人が交互に「はい、やってごらん」とやらされるのです。
先生は言葉に厳格で一言でもちがうと、やり直しさせられます。
相手が偉い先生だからなおさら緊張して間違えるとまたやり直し。
「学校が職場から近いから来たんだけど参ったなー」というところ。
嵐はひどくなる一方で職員は早くクラスを終りましょうと言うのですが、
内山先生はなかなか授業をやめようとされません。
「先生もうやめましょう」と強く言って止めたのが終業時間20分くらい前でした。
嵐だろうと3人だろうと授業をやるという先生の気迫は十分受け取りました。
その内山大先生を、何年後かの後輩達が飲み会で、
「ウッチーこっちこっち」と叫ぶではありませんか!!
「えーあなた方な内山先生をウッチーと呼んでるの?!」と言いましたが後の祭りです。
たぶんウッチーはここだけの話だと思います。

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●書けますか?
「平成20年度第1回、日本漢字能力検定受付中」
総武線のドア広告から
1有力チームが「ハ」を争ったった。
2党内は三つの「ハ」に分かれている。

3時間を「サ」いて訪問する。
4ハン力チを「サ」いて包帯代りにした。
 
5いかなる時でも精神の「へイコウ」を保つ。
6子供に泣かれて「へイコウ」した。

これで2級レベルだそうです
私は自信があるのは一つだけ。
近所の小学生も持っている2級レベルすらないことになります。
アメリカのコロラド大学で教えていた藤原正彦先生が、
「アメリカの学生もスペルを知らない。タイプのせいだ。」と
本に書いていたので、歳のせいじゃないと安心はしましたけど。

●山手線全線にホーム柵(日経5.12)

JR東日本は2017年までに山手線全線に転落防止柵を作ってくださるそうです。
自殺防止柵でもあるでしょう。山手線には29駅あるんですね。
山手線はホームが混む上にピーク時には2分以内で次の電車が来るので落ちたらやばいです。
考えただけでゾッとします。
お願いですから他の線でも早く作ってください。
未来の人からすれば、
「えー昔はホームと電車の間に柵がなかったの?なんて危険な生活してたんだろう」と
なるはずですから。

●PHOTOレタッチャーが人気(社員から聞いた話)

有名タレントにはメーキャップアーティストがついていますが、
最近は専属レタッチャーがついているんですって。
今や憧れの仕事らしいですね。
デザイン高校時代、福岡の大きな印刷会社の工場に学校から見学に行って、
レタッチ部屋に案内されて
「ここが我が社の一番重要セクションで彼らは我が社のエースです。
皆さんも将来こういうところで働けたらいいですね」と言われました。
それから何十年、機械化が進みレタッチマンは聞かなくなりました。
しかし今またPHOTOレタッチャーとして復活しつつあるようです。
しかし性質はちがいます。以前のレタッチャーは写真修正技術者でしたが、
新レタッチャーは写真をベースにPHOTOSHOP(修正ソフト)を使って、
アートする感覚で、どちらかといえばイラストレーターに近いですね。
おそらく有名なレタッチャーだと思いますが、職業紹介のタイトルには
「写真に新しい生命を吹き込むデジタルフォトレタッチャー」となっています。
有名タレント専属レタッチャーとなると、
下手に扱い回してタレントの個性を壊さない範囲で魅力を最大限に引きだす・・・
といったギリギリ勝負の美的センスが問われるのでしょう。
となるとメーキャップアーティストやファッションアドバイザーはお払い箱?
ネールアーティスト、PHOTOレタッチャー、
形を変えた新しい職業アーティストつまり憧れ人気職業が生れます。

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 ■      保存版
 ■      中年期危機は世代性=ジェネラティビティ
 ■      できリ抜ける
 ■      
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 今回は特に専門用語が並ぶので、若い人ほどうっとおしくて読まないと思いますが、
コピーして中年期までとっておきましょう。
ジェネラティビティはいずれあなたを救います。

世界中の中年が底にいる
 最新の研究でも、中年期は世界的にみて精神的スランプやうつ状態のピーク
つまるU字カーブの底なんだそうです。
イギリスのAndrew J. Oswald氏らが80カ国約200万人を対象に調べ、
性差(性別)や文化、地理、財産、職歴、学歴、婚姻状況、親の状況にかかわらず、
世界共通で中年が危機状態にあると、米医学誌
(SOCIAL Science & Medicine 2.11)に発表しました。
また、アメリカのJAMES S. Goodwin博士は
「年齢を重ねると知恵や知識が増える。
中年期のつらい時期があってもその時期はいずれ終わり、
その後は知恵や知識があることで前向きな展望を持つことができる」
と言っています。(HealthDay News 1.30)

 その知恵の一つが今回の「世代性=ジェネラティビティ」です。
前回は中年期対策として「親密性」について書きました(もう忘れました?)
今回はいよいよ大詰めの「世代性(次世代育成能力)」対「停滞性(自己陶酔)」
(エリクソンのライフサイクル論)です。
1年以上も引っ張ってきた中年期危機シリーズのこれが結論といってもいいでしょう。
「世代性(次世代育成能力)=ジェネラティビティ」ですが、
どういうことかというと、自分より若い次の世代の面倒をみることで、
自分も危機を乗り越え成長が促進できるという考え方です。
この能力獲得に失敗すると対の「停滞性(自己陶酔)」となります。

 ウィキペディアではジェネラティビティを「次世代育成能力」と訳してあります。
ということはGenerativityは、generative responsibility(世代的責任)を
くっつけたものかな?(どこかに書いてあったけど探すのは後あと)
しかし、エリクソンの造語はまちがいありません。

 ジェネラティビティはよく中年に見かける、
はた迷惑な教え魔や説教魔中年のことではありません。
あくまでお世話をするということで、父性よりも母性的感覚です。
(中年期に男性は女性性を身に付ける重要性は次の機会にのべます)
上からああだこうだ批判するんじゃなくて、
下から支えるとか育むといった感じ。
「なーんだそんな簡単なこと?」(女性性を獲得しつつある人)
と言う人もいれば「そんな面倒くさいことできるか!」という人もいます。

 ジェネラティビティは社会の第一線から後退する感もありますが
実は命の有限性を意識する中年期においては重要なコンセプトなんですね。
よく中年になってボランティアや学校の先生をやりはじめる人がいますが(私を含め)
あれは自分の技術なり何かを次世代に伝えたいという本能もあるけど
あれは中年期危機から自分を守る行動でもあったと勉強して気がつきました。
最初のころはジェネラティビティを「生殖性」と訳したものもありましたが、
アイデンティティの大御所の鑪先生もおっしゃっているように、
「生殖性」だと子供を産まないと(育てないと)ジェネラティビティは育たないのか
ということになりますから「世代性」のほうが概念が拡がるでしょう。
たしかに子育てはジェネラティビティ獲得の栄養になりますが、
独身でもジェネラティビティはし育つし獲得できます。

ジェネラティビティ
「アイデンティティ」のように「ジェネラティビティ」と原語で覚えちゃいましょう。
「アイデンティティ・クライシス」は有名な用語になりましが、
アイデンティティが世相のキーワードとして社会に拡がったように、
「ジェネラティビティ」のほうが「世代性」よりもブランド性は高いでしょう。
「ジェネラティビティ」概念が拡がれば日本の中年もずいぶん楽になると思います。
これから「ジェネラティビティの○○」みたいな啓蒙家が出てきて欲しいです。

ジェネラティビティ・クライシス
アイデンティティ・クライシスの「クライシス」は、
アイデンティティ拡散、つまり自分は何者かわかんなくなることですが、
ジェネラティビティ・クライシスの「クライシス」は
stagnation(停滞性・自己陶酔)です。
つまり「俺ってすごいだろ」って思い、人にも言ってしまうことです。
そりゃあ中年になれば仕事も習熟するし、いろんなことができるようになるから
ある意味ではすごいところもあるでしょう。
そうなると、人間関係は縮小され、冷え込み、
自分の技術と心理活動と人間性の成長が停滞してしまうわけです。
部下にしょっちゅう怒鳴っている部長なんかそうですね。
飲んだら自分の若い時の自慢話。(たしかに快感ではある)
皆がやったのを「あれは俺がやったんだ」と言う。
でも職人の世界ならいざ知らず、サラリ−マンになると、
知らないこと、扱えない道具も出てきます。
(このことが中年期危機年齢を早めています)
人が寄りつかないので、下手なプライドで教えてもらうわけにはいかず、
「今さら人に聞けない○○の本」を読んでもわからず、
ますます意固地になって会社で孤立してしまいます。
そういう人は地域社会や家でも孤立するので、
たんなる頑固親父になり、ますます現実から遊離します。
昔は技術革新も遅く、情報もピラミッドの上に位置する中年に集まる傾向があったので、
なんとか威厳は保て表面的でも空威張りできたのでしょうが、
今後は若い人に辞を低くしてに教えていただく余裕やユーモアが必要です。

育む姿勢
 ジェネラティビティは次の世代を生み、育み、世話をし、導くことです。
中年期の役割は次の世代のために仕事を産み育てます。
仕事を生み(とってきて)創造的なアイディアを生み
(生れるようにファシリテーションし)、
産んだだけじゃなくて育てる(会社がうまく行くようにセットアップする)
といったことになります。
ある中小企業の社長の集まりで「私は舞台作りだけしています」と
言った社長がいましたが、似た感覚かもしれません。
仕事を産みっぱなしで「後は勝手にやれ」というのも困ります。
トラブルを含む育てることまで責任を持つことも大切でしょう。
そして成果や手柄は部下にゆずって自分は知らん顔・・・・は理想ですね。
そこから哲学と人格の領域に入ります。
私にはまだ生々しさ(青さ)が残っているのでそこまではできません。
でも部下の手柄を全部横取りしたらジェネラティビティ・クライシス一直線です。

エコ的感覚としてのジェネラティビティ
自分も先輩や先生にお世話になったから、
今後連綿とつながる世間様の次の世代にお返しする、
といった「世代的な円環的関わり」感覚が働いています。
自己満足と自己愛と距離を置いた、宇宙的、歴史的、エコ的感覚です、
仕事を見つけ家と家族の生活を安定させ・・・という成人期のテーマから、
身体のおとろえと喪失体験などを通じて、命の有限性を意識しはじめて
自己の精神世界を社会、世界、宇宙レベルに拡げ、
「統合」という最後の老年期のテーマに至る準備なのかもしれません。
「統合」のクライシスは「孤独や絶望」ですから、それはもっと辛そうです。

ジェネラティビティはこちらから近づく
 中年期は若い世代から歓迎されないと思います。怖いですから。
最初はこちらからすり寄って行くことになるでしょう。
学校で教えるとか、ボランティア活動のお手伝いするとか・・・・
会社の癖が出て最初からしきろうなんて思ってはいけません。
見返りはアテにしないで、いち新メンバーとして参加します。新たな修業です。
不効率的なものが目に付いても批判しては行けません。修業です。
だんだん存在が認められいろいろ相談されたりアテにされるようになります。
うれしくなってやるからますますアテにされる。
世代を超えた相互的関係の中で癒され元気がとりもどせます。
停滞や自己陶酔や“うつ”とは無縁の「ジェネラティビティの好循環」が生れます。
ほっとけば「下り坂」の中年期をジェネラティビティで豊かな中年期にしましょう。
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