もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
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■■■■■■■■■■デザインジャーナル262号
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■■■■■■■■■■2008年10月20日(月)発行
■■■■■■進む原田
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目次
0 ・・・・・・まくら 
1 ・・・・・・清水忠男先生(千葉大教授)の最後の授業     
2 ・・・・・・でました!!アップルの新しいMacBookのデザイン   
3 ・・・・・・パナソニック電工のキッチンど真ん中思想
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■  ■   まくら  
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●キンモクセイ

家でも会社でも外に出るとキンモクセイの香りがします。
あー秋だなー・・・といっしょに思い浮かべるのが、
この香りが嫌いな近所のおばあちゃんのこと、と書いていたら、
もうその時期が過ぎてしまいました。

●危険な人

出勤途朝の7時過ぎ、老女が市ケ谷の三差路の真ん中を横切っていました。
「ああーあんなところを、ボケ老人か?」とビックリしました。
三差路の真ん中は白い線が斜めにたくさん引いてあり小さなポールが立っているので車は避けますが、
車道を横切らないと歩道に出られません。
ガードレールのこちらから「そこ歩くとあぶないですよー」と叫びました。
こちらに向かって道の方に出てきたので車が来ないかあせりました。
タクシーが徐行して避けてくれました。
ガードレールに近づいていてきたのは50前後の女性でした。
また道に出ようとしたので「そこあぶないですよ」と言ったら、
「迎えの車が来るから待っている」と言います。
「じゃあこちらで待ったら良いですよ。そこは危ない。」と言ったら
「迎えの車を待っていると言ってるじゃないですか!
なんでそんなにしつこく言うんですか!ほっといてくださいよ」
と怒り出したので刺激しないようにそっとその場を離れました。
信号を渡って市ケ谷本村町一丁目の交番の前でお巡りさんがじっと立って女性のほうを見ていました。
「あのおばさん危ないですよ。注意したら文句言われました」と言ったら、
「あの人頭おかしいんですよ」と言うだけで、だまって立って目で追っていました。
運転者も犠牲になる可能性があると、ゾッとした感覚のまま会社に行きました。

●女性専用車

帰りの総武線に乗ったら吊り広告が全部ショッキングピンクです。
「コニカミノルタは乳がんピンクリボン運動を応援しています」
というタイトルの、乳がん予防に役立つマンモグラフィの広告です。
コニカミノルタのつり下げ広告の車両ジャックですがその他も女性商品の広告のようです。
ちょっと様子が・・・と窓を見たら同じショッキングピンクで女性専用車と書いてあります。
「またやってしまった」とそっと見回したら、女性が多く7人掛けに男性は1人。
「やっと座れたんだから」と動かずにいましたが居心地は悪いです。
中野止まりでやれやれと隣の電車に乗り換えたら、同じ広告でまたもや女性専用車でした。
考えてみれば一号車の横は一号車です。
満員電車になるとさすがに男の方が多く座席7人中5人が男でした。

●朱鷺、ふたたび

「朱鷺、ふたたび、9月25日佐渡島の大空へ」
というポスターが駅にはってありました。
朱鷺の姿は優雅でエレガントですが顔をアップで見たら怖い顔してんですね。
土着宗教の儀式に使うお面のような顔をしています。

●試験 試験 試験

早朝の電車に乗ったら、いつも見かけない学生がたくさん乗っています。
いつもはおしゃべりしている同級生がそれぞれ参考書やノートをながめています。
別の学校の生徒もいて、どこもちょうど試験時期なのでしょう。
昔は中間考査とか定期考査とかありましたがいやでしたね。
試験後に成績の順番が出るけど、ろくな結果じゃなかったから。
団塊の世代で中学でも自分の成績の上に、何百人もいるので無力感にさいなまれました。
その後、人生の節目節目で試験の連続でした。
入試や資格の重要な試験の正否を計算すると、5勝8敗で負けが込んでいます。
入試には5回落ちました。運転免許証は大型とバイクで一回づつ落ちました。
でも40年後の今になって思うのは一番ショックだった最初の大学入試には落ちて結果オーライです。
たぶんお互いまだまだ試験は続くと思われます。
新たな目標を持たなければ試験は受けなくていいんでしょうが、
いつも何か目標がないと落ち着かない性格(エニアグラムタイプ3)ですから、
だいっきらいと言いながらいつまでも試験を受け続けることになるのです。
 
●歯医者の隣の会社

通っているクライアント企業の会議室は、同じフロアーにある歯医者の隣にあります。
行くたびに「ちゃんと丁寧に歯を磨こう」と決心を固くします。
会議中、消毒の匂いにまじって、チーンという音とジュッという吸い込む音が聞こえてきます。
けっこう大きな音がするんですね。
先週突然「もしこの世に麻酔薬がなったら」と考えが浮かび、ゾッとしました。
日本の医療も最近では麻酔の量を他の先進国並に増やしてきたのですが
ソ連時代のロシアで歯の治療に麻酔を使わなかったそうです。
予後が悪いというのが建前ですがお金がなくてけちったのでしょう。
日本人医者がソ連に行った時に、ついでだから麻酔無し治療がどの程度か試そうと、
麻酔無しで歯の治療をしてもらったら意識が遠くなるほど痛かったそうです。
という話が文芸春秋に出ていましたが、
世の中には痛みを冷静に受け止めることができる人がいるんですね。
あるいは解離する技術を持っているのかもしれません。

●商店街のアーケードを間近で見たことありますか?

西荻駅前のビル2Fの「ジョナサン」のカウンター席に座ると、
「西荻シルクロード」商店街のアーケードを間近に見ることができます。
席によってはアーケードしか見えません。
向こうは「西荻北銀座」商店街ですがそちらのほうにはアーケードはありません。
普段は街の風景の一部であり、何がどうなっているのか注意も払いませんが、
目の前に迫ってくると、デザイナーとの対話がはじまります。
そう、アーケードデザイナーがコンセプトにそってデザインしたんでしょう。
何十年も建ってなければならないので看板というよりもむしろ建築物で、
しかし一方では装飾物であり、その兼ね合いのところで考えられています。
デザインコンセプトはおそらく華やかさ未来と夢だと思います。
壁もわざわざツートーンにして材料と色を変化させてあったり、
たくさん並んでいる大きなランプも植物の一部のような凝ったデザインです。
それぞれバラバラにとってつけた感じですが、キッチュなまとまり感がないわけではありません。
「コスモ証券」「ビーズ」「ウエンズスタジオ」「楽音」「日本ハウス」と
大小ブランドロゴを圧倒し飲み込んで、
それぞれ対等に見えて、強烈なさで統一感が感じられるデザインです。

●バナナがなくなって困っています

バナナ健康法がテレビに出て以来バナナ二本が朝食です。
たしかに身体にいいようです。
困るのがどこもバナナが売り切れだということ。
なっとうの時も売り切れましたが「あれはガセネタだった」ということですぐ元にもどりました。
困るといったって自分も買って人を困らせてる口なんですけど。

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 ■■      
  ■       
  ■     清水忠男先生(千葉大教授)の 
  ■     最後の授業
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  ■      
 ■■■ 

 大学教授というのは定年する時に最後の講義を大々的にやるものだと聞いていました。
よく小説や映画や出来てくるし研究書などにも出てきます。 
最終講義は教授締めくくりの大事な儀式であり、意義は2つあるようです。
一つは教授の数十年にわたる研究成果を総括し集大成を披露すること。
もう一つは「これだけは生徒に強調しときたい」という遺言の儀式でもあります。
ある医科大学の最終講義の欄に、・・・・息をつく暇もなく最終講義は終了した。
学生時代から現在まで、眠気を全く感じなかった講義は今回の○○教授の最終講義が最初で最後になることであろう。
なんてこと大学の案内欄に平気で書いているものもあります。

 先日9月25日に、千葉大学名誉教授の清水忠男さんが、
東京国際フォーラムで「人を想い人に還る」というタイトルの
最終講義の専門家版をやられたので聞きに行きました。
本番の千葉大学での最終講義は3月にあり、教室が満員で立ち見がでたほどだったそうです。
清水さんは、本年3月末に千葉大学を定年退職され今は名誉教授で、
数多くのデザイン賞を受賞されたプロダクト、環境デザインの代表的デザイナーです。

 なぜ清水さんと気安く呼べるか?
 清水さんは私の大屋さんでもあり「大屋といえば親も同然、店子といえば子も同然」の関係です。
30年前にサンフランシスコで知り合って
「これからはじめて東京に住むけどどこに住んだらいいかわからない」と言ったら
「僕の西荻のマンションがそのままだから使ったら?」と言ってくれたので、
それ以来ずっと、清水さんの生まれ育った西荻近辺に根を下ろすことになりました。
山手線が丸くなっていて、真ん中を中央線が通っていて西荻はここに位置すると
紙に書いて教えてくれました。
1年過ぎた頃「帰国するから」ということだったので、近所に引っ越して部屋を空けたのですが、
「ワシントン大学で教えることになったから」と帰国が伸びました。
帰国されて千葉大学で助教授、工学博士(東京大学)取って教授になられました。
デザイナーでありながら博士はカッコいいですね。

 ユニバーサルデザインの第一人者ということは知っていましたが、
最終講義を聞いていて「人を想い人に還るデザイン」がよく理解できました。
以下、その内容のメモです。
デザインは、グラフィックデザイン、インダストリアデザイン、ファッションデザインと
専門領域で分かれてれていた。
しかし現在は、社会との関わり軸で分かれて来ている。
例えば
ユニバーサルデザイン、つまり「多様な人々を思いやるデザイン」
サステナブルデザイン、つまり「先人たちや未来の人々を思いやるデザイン」
コミュニティーデザイン、つまり「近隣や地域を思いやるデザイン」
エコデザイン、つまり「自然を思いやるデザイン」となっている。
そして思いやり実現の支援には、これまでの専門領域の分かれ方では範囲が狭過ぎるので
新たな統合型、融合型のデザイン領域が求められている・・・という内容でした。
「ともに生きるためのデザイン」の思想が清水先生の環境デザイナーとして到達点だを感じました。

 最後に「自分の考え方を一番言い表した歌がこれだ」と
阿久悠の「あした」をカラオケに合わせて歌われて(声が綺麗で歌が上手)
音楽と歌詞と歌と情動伝達でしめくくるところは、デザイナーらしいユニークなしめ方でした。
昔から授業の話を聞いていると、理性だけじゃなく情動に訴える教え方は清水先生の真骨頂のようです。
学生は当然のこと各専門家の参加者も感動したはずです。

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 ■■■      
   ■      
   ■    でました!!
 ■■■    アップルの新しいMacBook
 ■      のデザイン
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 Mac雑誌などで「今度はこういうのが出る」に夢が膨らんでいた分ちょっとがっかり。
何かやってくれるという期待が大き過ぎました。
たしかに他社製品に比べると美しい!しかし美しいのは昔から当たり前。
23万円もするんですから別の驚き機能を求めるわけです。

宣伝文句の
・一枚のアルミ板から削り出された高精度アルミニウム・・・だから頑丈で軽いと言っていますが
軽さ(印象)ではパナソニックには負ける感じがします。
実際に持ってみましたが従来と変わらない気がしました。
パナソニックはデザインがゴッツイから、持ったら「あっ軽い」と感じますが、
MacBookはデザインがきしゃだから、反対に意外と重いと感じてしまいます。
・驚くほど薄くなったバックライトディスプレイ・・・薄さではVAIOにはかなわないですね
もちろんairMacがあるけど12月には新スペックになるそうで予約受け付けていました。
・5倍速のグラフィックパフォーマンス。・・・デザイナーにはありがたいけど、
しかしラップトップでグラフィックはやらないです。
・ガラス製のマルチタッチトラックパッド
どうも今回はここに特徴があるようで、コマーシャルは携帯iPhone的なトラックパッド操作感です。
カタログには「滑らかな手触りの大きなトラックパッドで、指先での操作も思いのまま。
それ自体ボタンとしても機能するので、どこでも自由にクリックできます。 」と書いてあります。
角がちょっとairっぽくなっただけで基本的にはこれまでのMacBookとサイズもデザインもそう違わないので、
違いを演出する意味でかキーボードのキーだけ黒くして画面の縁を黒くしてありますが
デザイン上必然性がありません。
入信20年目Mac教信者としてはそんなんじゃごまかされないし驚かないし満足できません。

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 ■■■       
   ■     
   ■   パナソニック電工の
 ■■■   キッチンど真ん中思想
   ■   
   ■  
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10月9日、日経のパナソニックの新しいキッチンをみて驚きました。
キッチン流しがリビングの真ん中にきているのです。
その周りに、テーブルあり、机あり、ソファありという考えです。
意外と多くの人が自分の部屋や書斎があっても食卓で仕事や勉強をしているのではないでしょうか。
多くの友人が食卓で仕事していると言っています。
喫茶店で勉強がはかどるのと同じ理由です。
食べ物に近いキッチンは匂いにつられて本能で人が集まります。
その目の前で主婦(とは限らない)がこちら向いて料理していると顔や合わせる時間が永くなります。
料理が得意な人は舞台で演じる主役になり子供に料理を伝授できる教室にもなります。
割烹着を来て、こちらに背中を向けてトントンとネギを刻む音に続いて、
アサリとみそ汁の香りがプーんというのは昔話になったのです。
キャンプファイヤーの周りに人が集まりにぎやかにさわぐ、人が他の人を集める、
そういった場所にキッチンと食卓がなればというコンセプト設計と思われますが、
思い切った思想と商品を打ち出したものです。
水が飛び散らない広さを確保するのが難しい点が日本での最大のネックになるでしょう。
でも設計とデザインが家族の機能と文化を変えるから、
チャレンジするに値する価値のあるコンセプトです。
システムキッチンとしては追いかける後発メーカーだからこそ、
このアイデアが実現可能になったのかもしれません。
社名を松下電工からパナソニック電工に変えた、その記念コンセプト商品としては、
うまいとろに目をつけたと思います。


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