もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
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■■■■■「デジャ」
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■■■■■■■■■■週刊
■■■■■■■■■■デザインジャーナル279号
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■■■■■■■■■■2009年9月28日(月)発行
■■■■■■進む原田
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0・・・・・・・まくら
1 ・・・・・・心理学における健康的な人格
2 ・・・・・・アルバートエリスの健康的な生き方・・・その11健康な人は「長期的な快楽主義」である
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■  ■   まくら
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●世界は年代別でつながっている
ハワイ在住の友人のツトム(富田勉君)の
「ギャラリートーニチ」での水彩画展を見てきました。
35年前サンフランシスコでみた彼のイラストレーションと同じ匂いです
写実的な風景画で「あるがままをそのまま絵にできる」
この素直さも一つの才能だと思いました
ハワイの空気でツトムの素直さが磨かれたようです
もう一人別のサンフランシスコ時代共通の友人が
ニューヨークから帰ってきてたので急きょ東京在住のもう一人と4人で会いました。
私は時々会ってきたので長い人で15年、短い人で半年ぶりですが
彼ら3人はお互い35年ぶりの再会です。
年齢差に関係なくショートネームで呼びあっていた仲間で
時の流れの早さを感じてしまいました。
私以外の3人は子供がちょうど18〜20歳の大学生で、
ニューヨークもハワイも東京も生活スタイルが全く同じだと驚いていました
昔、学生時代フランスに留学した○○さんが何十年ぶりにフランス人の仲間に会って
「世界は国別に人種が分かれているのではなくて、
年代別に人種が分かれているのだということを実感した」と話していましたが
そのことを思い出しました

●早朝出勤
けさの通勤で西荻駅に行ったら人がいません
エッ?今日は休み?と思って、駅の時計を見たら、
いつもより1時間早い5時45分でした
さすがに座席はガラガラです

●親子の葛藤
我が家の裏が小さな公園になっています
窓を開けると子供達の遊ぶ声が入ってきます
先日、若いお母さんの声が聞こえてきました。
「ほら○○ちゃん謝まんなさい。ちゃんとごめんなさいって言えるでしょう。
・・・・ほら言いなさい・・・ほら」
あんまりお母さんがしつこく何度も言うのでこちらのほうが
「○○ちゃん早く謝って、けりつけなさい」と聞いていたら、
ワンと一声。
「ほらちゃんと言えるじゃないの、ごめんなさいね・・・」

●嵐は去った・・・
と信じたいです。
米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻から丸1年がたった、
ウォール街でオバマ米大統領は14日、
「過去2年間の嵐が収まり始めたことを確信できる」と演説しました。
(まぐまぐニュース9・15)
今年3月には6500ドルだったNYダウ平均株価が、
9月現在9600ドルまで回復というのがその裏付け。
凍りついていたデザイン業界に、すこーしだけ、
なま暖かい風が吹きかけてきたのではないか?
デザイン会社をやっている友人の感触です。

●トイレットペーパー製造機
モノマガジンNo.610にナカバヤシ販売の新製品で、
「トイレットペーパー製造機ホワイトゴート」を紹介していまいた
クローゼット二つ分くらいの大きさで、使うのはオフィス。
片方がシュレッダーになっいて、
その細切れの紙でトイレットペーパーが作られて、
もう片方の出口から出てきます。
製造能力は30分に一個。
ニワトリがタマゴを生むようにポトリと落ちてきます。
欲しいなと思って値段を見たら900万円
ナカバヤシは「フエルアルバム」で有名になった会社で
紙を食べるから「ホワイトゴート」というネーミングが共通しています。
おもろい会社です。キャッチコピーは、
「我が社ではヤギは飼えない。しかしホワイトゴートは、置ける」
・・・・ただし900万円あればの話。

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  ■       
  ■     心理学における
  ■     健康的な人格
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 「立派な人」を目指すならお寺か教会で修業したらいいでしょう
人が「あの人は立派な人(人格者)だ」というのもいい加減なもので
実際には「本当に立派な人」と「立派に見える人」に分かれます
本当に立派な人は、立派でない普通の人には識別できないかもしれませんが
マザーテレサのように「誰が見ても立派な人」はいるのはいます
しかしこのレベルになると心の葛藤の苦しみの方が多いと聞くので
心理学的に健康的な人格と言えるかどうか

 心理学でいう健康な人格というのはもっと軽いレベルの
人に迷惑かけないで自分を肯定し人生を楽しめる人です
しかし聖人君子の道もその先につながっているような感じはします

 これまでアルバートエリスの健康的な生き方について書いてきました
今回は11回目で後一回で12回全部がそろいます
その12項目が健康な精神の目安となり人格の成熟への指針となるものです
全部備わっている人はほとんどいないでしょう
人間は性質上、感情や行動の振り子が生き過ぎる傾向がつよいので
どこか常に歪んでいてそれが弱点になっていたりもします

今回この後の「快楽主義」はすでに行き過ぎてしまった表現です
しかし振り子の端を刹那的な快楽主義とすると、
反対の端はこれからを心配して全く楽しめないということで、
そのどちらも不健康な人格となります

 そもそも心理学で健康な人を語るというのは、
19世紀に心理学がはじまって半世紀がたった20世紀中盤、
人間性心理学の人々が登場してからです
人間性心理学はフロイトらの精神分析と、
ワトソンらの行動主義の二大潮流に対して登場してきた人達で
そのうちの一人であるマズロー自ら「第三勢力」と呼びました。

 人間性心理学で、日本ではロジャースやマズローがが有名です。
日本人間性心理学会というのもあり私も会員です。
ちなみに私が出たCSPPでロジャースやマズローが教えていたそうです。
直接関係ないけどちょっと誇らしい気持ち。

 それまでの心理学は医者が臨床心理学をやってたこともあり、
心の病気を持った人、つまり不健康な人格ばかりを研究していたんですね。
生理学的心理学、行動主義的心理学、構成主義的心理学、機能主義的心理学、
ゲシュタルト心理学、数理心理学,フロイト流の精神分析学などです。
それを批判したのはオールポートという心理学者。
『パーソナリティ心理学的解釈』の「成熟したパーソナリティ」で、
これまでの上記の心理学は健康な成人を扱っていないと批判しています。

オールポートは成熟した人格の基準として、
●自分の内面だけでなく関わりを持つ他人にたいしても心を開けること、
 (自己感覚の拡張)オープンマインド
●自分の要求と社会の要求のズレを調和的に図れるための
 感情の安定と自分に対する自信、
●自分を対象としてみることができる冷静な客観性
●自分を笑いの種にできるユーモアの感覚
 をあげています。エリスと共通しています。

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   ■      
   ■    アルバートエリスの
 ■■■    健康的な生き方・・・その11
 ■      健康な人は「長期的な快楽主義」である
 ■      
 ■■■
   
アルバート・エリス ウィンディ・ドライデン 1987
REBT入門 理性感情行動療法への招待
実務教育出版より

以下原文のまま
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(11)長期的な快楽主義
適応している人間は,現在と未来の満足を求め,
目前の利益のために将来の苦痛を求めることなどしない。
彼らは快楽主義者であり,
幸福追求,そして苦痛回避の考え方をするが,
この先長い人生なのだから,今日のことも明日のこともよく考えて,
即時的な満足にとらわれないようにしたほうがよいと考えているのである。
(以上原文)
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同じことが
「アルバート・エリス人と業績」ヤンクラJ.・ドライデンW.(著)
國分康孝・國分久子(監訳) 1998 には以下のように表現されています
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(11)長い目で見た快楽主義
エリスは、心理的に健康な人は快楽志向であると考える。
その意味は、今もこれからも人生の幸福と満足感を最大限にするように行動することである。
心理的に健康な人は長い目で見た利益のために
現在の苦しみに耐える意志があることを表明し、
一時的な満足感を強迫的に求めない。
彼らはたぶん、あと何年も長生きするだろうと考える。
それゆえ、過食や喫煙など長期的な健康や幸福を脅かす行動は選択しないし、
また実行もしない。
(以上原文)
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以下原田の感想

快楽という言葉からくる誤解
 快楽というこの日本語はいけませんね。
快楽は本能的快感をより多く追求することですから誤解を招きます。
薬物やアルコールやギャンブルや買い物やセックス・・・
長期的に度をすごすと中毒(依存症)になってしまいます。
快楽殺人という極端な言葉もあります。

快楽よりも「楽しみ」が妥当な日本語訳でしょう。
私の超訳は「健康な人は長期的(宇宙的)視野で楽しみを最大化する」です。
健康な人は今をおおいに楽しむことができるのです。
将来計画のために多少我慢することがあっても(貯金や勉強など)
それは楽しみの一部と考えられます。
そのためにはこの先必ずいいことにつながるという基本的信頼感が必要です。
基本的信頼と自己肯定感がなければ
「将来が怖いから今を犠牲しよう(我慢して耐えよう)」
と同じことやっていても受け取りかたが変わってきます。

「大脳の高次機能の発達した人間は、長期的な目標の達成等、
動物的欲求以外の状態からも快感を得る事が可能である。
美しいものを見、素晴らしい音楽を聴き、
楽しい時を過ごす事によって人は快感を得る。」と
ウィキペディアの「快感」のところに書いていあります。

「楽しむな」は日本人の(禁止事項)として強いようです。
 心の根底に「楽しんではいけない」ということが強いようです。
自分だけ楽しむことに罪悪感を感じます。
だから普段の会話も、
「いいですねお宅は素晴らしい○○があって」と言われると、
日本人「いやーうちなんか駄○○ですよ」
アメリカ人「そうです○○があってラッキーです」とちがいます。
これは村社会の名残でしょう。
村の共同体の中では良いことと悪いことが同時にどこかで起きています。
悪いことが起きている人の方をおもんばかってのセリフでしょう。
私の気持の中にも、たぶん親の影響もあり、
「楽しんではいけない。楽しんだあとはロクなことが起きない」
というのがありました。
エリスのこの(11)長期的な快楽主義の考えに出合って
「そうか楽しんでいいのか」「楽しめるということは健康な証拠なのか」
「楽しむ時はだれきがねなく楽しもう」と徐々に楽しめるようになりました。

青年期の抑制も大きい
 青年期にはそうとう楽しみを抑制させられます。
モフィット(Moffitt.T.E.1993)の理論のなかに、
マチュレーション・ギャップがあります。
マチュレーション・ギャップというのは
青年期の若者は、生物学的には大人であっても社会的には半人前とみなされ、
大人には許される多くの魅力的な活動、例えば
自動車やバイクの運転、飲酒や喫煙、セックス、自由な行動など
が抑止されていることから生じる欲求不満です。
モフィットは多くの若者が非行に走る原因として
マチュレーション・ギャップと模倣の二つを上げています。

 非行に走らずに来た人は上記のことを我慢して、
あるいはかわすことに、ある程度成功した人です
だからどうにかまともな社会人になれたと考えています
つまり我慢することで社会人になれたという経験をしているので
自由・・・やばい、楽しめないということになります

楽しむのも一つの能力
南米人、スペイン人、イタリア人、ギリシャ人、ハワイ人など
温暖な国の人は楽しむことが上手に見えます。
ギリシャが舞台の映画『マンマ・ミーア!』を見ていると、
複雑な家庭事情なのに、泣いたり笑ったり踊ったり、
今を楽しんで生きているという姿に圧倒され元気がでます。
話はズレますがこの映画をシスターが観に来ていたのには驚きました
マザーテレサ並にぶっ飛んだシスターです

「楽しむな」という禁止事項の、呪縛を自分で解くために、
「楽しんでいいんだ」と自分に何度も言い聞かせる必要があります。
「今、ここ」に生きれば、今あることへの感謝の念が生じ、
今を楽しいと感じ、「人生は楽しい(味わい深い)」となるのかもしれませんが。

実際にはまだ「私は人生を楽しむ、長期的な楽しみ主義者だ」と言ってまわると、
浮きまくるでしょうから「無言実行、楽しみ主義者」ですね。
周りも明るくなります。


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