もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
W_e_e_k_l_y__D_e_s_i_g_n__J_o_u_r_n_a_l______________________________
 
■■■■■「デジャ」
■■■■■■■■
■■■■■■■■
■■■■
■■■■■■
■■
■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■週刊
■■■■■■■■■■デザインジャーナル310号
■■■■■■■■■■
■■■■■■■
■■■■■■■■■■2011年4月22日(金)発行
■■■■■■進む原田
■■■■■■■■
=====================================================================


目次
0・・・・まくらのみ


=====================================================================

 ■■
■  ■
■  ■
■  ■   まくらのみ
■  ■
■  ■
 ■■

 まだ東京は揺れていて落ちつかない日々です
私も含め、周りの人は何らかの精神的ダメージを受けています
体の調子をくずしている友人も多くいます
レストランでも電車の中でもあちこちの携帯電話から
「これかれ揺れるぞ、気をつけろ」という地震予告の警告音が一斉に鳴り始めます
まるでSF映画のようです
「あれ?いま揺れてる?」「吊ってあるのが揺れてないから」「ああそうか」
と私一人だけ緊張したり。
余震が毎日続くと少しは揺れに慣れてはきます。
しかし慣れたところへ、揺れがちょっとでも長く続くと、
体中の成分が変わるくらい凍りつきます。
いつも揺れを感じるのを「地震酔い」と言うんだそうですが、
自分の心臓から送り出された血液が体を巡っていてその振動で
揺れを感じるのかなと考えたり過敏になっています。

「再生期」がある
前回のメルマガで被災者の心理の変化には段階があって
「1.茫然自失期」「2.ハネムーン期」「3.幻滅期」があるが、
それだけだと希望がなくてあんまりじゃないか、と書きました。
その後、別の情報の中に「4.再建期」と書いてありました
この情報によると、最初のステップが「茫然自失期」ではなくて
「1.英雄期」となっているので被災者当人だけでなく
周りの人の心理状態も含んだ表現のようです
被災者当人は「1.茫然自失期」でしょう。
「英雄期」という表現は「助けたい一心で誰もが必死で英雄的な振る舞いの時期」ということでしょうか
今そういう英雄が新聞やテレビ・ラジオに毎日登場してますね
次の「2.ハネムーン期」は「日本頑張れ、世界中が応援している」とハイになった状態です。
むしろ心の裏側で幸福感すら感じている面がある。
そして「3.幻滅期」2ヶ月ごろからはじまって1〜2年続くといいます
危機介入のあとの、心理援助はこの頃から本格的に始まるようです
被災地近くに住んでいる臨床心理大学院の先輩たちが主になって集団で援助活動していますが
今は心理相談よりも、炊き出しや泥かきをしているそうです。
余談ですが、私も参加表明はしているのですが、小部屋に5〜6人が寝袋で雑魚寝だそうで
いびきが大きい私は仲間に迷惑をかけるので様子を見ています。
という理由は現地に行っている人には「言い訳に過ぎない」かもしれませんが。

「4.再建期」
再建期という言葉には建物や設備の再建も含んでいますが、
被災者は苦しみの末に人生観が変わり心が変わり再び前に向って歩き出す
「4.再生期」としたいところです
家族や家を失った人は「天災と人生だから納得するしかないかな」と
考え出す時が心の再生期の入口でしょう。
そういった意味では最近誰が造語したかしりませんがPTSDをもじったPTSG
はなかなか良い言葉ですね
PTSDというのは Post- Traumatic Stress Disorder =心的外傷後ストレス障害で
最期のDisorder=障害をGrowth=成長に入れ替えた言葉です
PTSDは災害などの恐怖体験が頭の芯に残っていて
時々それが勝手に飛び出してきて苦しめる障害ですが、
それで終わったのではあまりに悲惨で「神も仏もないものか」という状態です
危機を乗り越えた末に「成長できている」おまけに「ストレス耐性がついている」と、
つまり「起きたことは必ず意味がある」(REBTはじめ多くの心理療法の哲学になっている)
ということで「なんでこういうことが起きるんだ」という絶望と怒りの苦しみから
はい上がって行く、いやはい上がって行かざるを得ないのかもしれません。
「死んだ人の分まで生き抜ぬこうと決めた」と良く聞かれます。

被災者を精神的にどう支えるか?
被災地に精神科医と臨床心理士が組んでPTSDを抑えるための危機介入で
おそろいのピンクのジャンバーを着て避難所に入っていくのをニュースでみました。
先輩達心理士は一般のボランティアに交じって炊き出しや泥かきをやりながら被災者の話を聴いています
以前紹介した足湯のグループも心理士(心理学生)が混じって足湯を提供しながら被災者の話を聴いています
いずれも危機療法のバリエーションでそれぞれメリットがあるでしょう。
 しかし、その後、長い援助も必要になります。
医者や心理士は去ってゆくので残った地元の心理士や周りの人たちに託されます。
プロの心理士じゃなくても援助はできますがその場合、
被災者の立ち直っていくプロセスを理解して
その人がどの段階にいるのかを観察して、けっして先回りしないことでしょう
最初の段階でできることは「共にいるだけ」(やってみるととても難しい)です
人が最悪のどん底から立ち直るプロセスは色々ありますが、
私が馴染んでいるプロセスをもう一度ここに紹介します。
ただし以下のプロセスは一人で悲嘆にくれる場合で、
被災は集団が関係するから2.ハネムーン期があるのだと思います
でもどれくらいハイになるかは性格や失った内容の程度にもよるでしょう

アルフォンス デーケン:12の悲嘆のプロセスの段階 
1.精神的打撃と麻痺状態 2.否認 3.パニック 4.怒りと不当惑
5.敵意と恨み 6.罪意識 7.空想形成、幻想
8.孤独感と抑うつ 9.精神的混乱と無関心
10.あきらめ→受容 11.新しい希望 12.新しいアイデンティティーの誕生

1〜4が茫然自失期
5〜7が幻滅期
10〜12が再生期に相当するでしょう
10番目のあきらめ→受容が重要な転換期です
全ての精神的不適応が快方に向うターニングポイントでもあります。
この段階がいつ来るかでその人の苦しみの長さが決ります
ある人は10年、ある人は1年、ある人は途中放棄して病死や自殺、
さまざまなパターンがあります。
周りの援助者は、早く楽になって欲しいからと、
焦って先回りをして失敗して長引かせて余計苦しめることもあります。
かといって、10年苦しむよりもできれば1年で立ち直って欲しいので
何とかしてあげたいが・・・この葛藤が援助者の我慢のしどころになります。
「いつまでも悔やんでいないで諦めさい。失ったものはもどって来ないんだから」と言うのは簡単。
「ちっとも自分の苦しみをわかってくれてない。しょせん他人だからか」と失望や怒りになります。
9番目まできて10番目がきそうな時にそれをやると4番目5番目に逆戻りして
かえって邪魔することになります。だからほんとうに心理援助は難しい。
また、援助者自身に死生観がきちっと入っていないと、
共感しつつも、どっしりと安定して観察して待つことはできないでしょう。
長く付き合っていれば、当人の口から10番を示唆する言葉、
「あのことに何か意味があったのかもしれない・・のりこえていくしかないのかな・・」と
いった言葉がもれたときに、それを支持して返すことだと思います。

●英国王のスピーチ

 地震が起きる前に観ていて、地震が起きたのでボツにした原稿でしたが
今日の日経の広告に「絶賛公開中ゴールデンウィークも劇場へ」と載っていたので
「この映画まだやっていたのか」ということで原稿を掘り返してきました
感激した後だから長々と書いていましたが、
つまり「この映画にえらい感激した」という話です
生涯を通じて一番感激した映画は青年の時に観た「ベンハー」ですが
今回の「英国王のスピーチ」がそれを超えて一位になりました
最初から最期までずっと感激の涙がとまりませんでした
歳とって涙腺が緩んだのかと心配になるくらい
ハンディを背負った王様を無名のスピーチセラピストが手助けする話ですが
この手の話には昔から大げさに感激するタチなんですね
やはり私は芯からコンサルタント向きの性格なんだなと再確認しました。

______________________________________________________________________________
購読申込・購読中止は以下で可能です。購読は無料です。
http://www.praxcis.co.jp/deja/
______________________________________________________________________________
メールマガジン「週刊デザインジャーナル」(mag2 ID=0000014473)
発行元:プラクシス株式会社  http://www.praxcis.co.jp/
    『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/
発行者:進む原田  susumu@praxcis.co.jp
______________________________________________________________________________
・・‥……………………… (c) 2010 Susumu,Harada …………………‥‥・・

文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)



購読申込(半角):

:送信先メールアドレスをご記入下さい

購読解除:

:送信先メールアドレスをご記入下さい

Powered by

Mag2 Logo