もどる 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp)
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■■■■■■■■■■2014年2月9日(日)発行
■■■■■■進む原田
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目次
0・・・・・・まくら

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■  ■   まくら
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●30年ぶりのぎっくり腰

とうとうまたやってしまいました。
30年前に自分のビジョン作成研修会で「よし運動で心身ともに健康になるぞっ」と、
目標を立ててテニスはじめて、それ以来、十二指腸潰瘍とぎっくり腰がおきずに、
「よしよし、テニスのおかげで目標達成」と思っていたら、先々週の木曜日あたりから、
うん?なにか変だぞ、あれあれと歩けない状態になり、あたたたたたと3日間寝たきりでした。
治療に2回行ったけど、時間がたなないと治らないことを思い出してやめました。
腰全体の痛みが片方だけになり、足の付け根から脚全体に移り、といつもの治るプロセスです。
明後日には完全復帰できるでしょう。

●東京駅と有楽町駅は目と鼻の先

有楽町での待ち合わせ場所を知らせる地図を作ってわかったことですが、
なんと東京駅と有楽町駅は隣同士、歩いて5分ということがわかりました。
東京駅から皇居に向う大通りから、有楽町駅前の国際フォーラムまで3ブロックしかないのです。
以前東京駅と銀座と築地が近いので驚いたことがありますが、
有楽町駅は東京駅の有楽町出口といってもいいくらいの近さでした。

●先生がスマホで授業の評価される時代

 20日の日経で「学生の評価で大学力アップ」「活用定着の工夫凝らす」という記事が載っていました。
学生が授業を受けながら、先生の評価をスマホでやるわけです。
それを集計して先生の給料に反映されるので先生もぼやぼやしてられません。
古いすたいるの研究者タイプの先生にとっては怖い時代になりました。
記事には大阪成蹊大学の例が載っていました。
「授業の内容はよく理解できたか?」「授業で新しい物の見方や考え方が広がったりしたか?」
などの10項目の質問に、「強くそう思う」から「まったくそう思わない」までの、
5段階から選ぶ仕組みになっています。
もちろん自由に書き込みもできます。
先生も生徒様が下向いてスマホになにか書き込みいれてたら気が気じゃありません。
授業中だけは勘弁して欲しい。

 こういった生徒が教師の教え方を評価する仕組みは、アメリカの大学ではなかば常識化していて、
もちろんその評価で給料も地位も変わります。
30年前、先輩デザイナーの○○さんがワシントン大学で教えていて、
学生による全教授の評価が毎学期発表され、それに準じた給料になっていました。
○○さんは世界的なデザイナーですが、同時に教える才能もあり、
教授としては新人で英語の壁があるのに評価と給料は常にトップでした。

 8年前に卒業したカリフォルニア臨床心理大学院も、毎学期の終わりに、
クラス担当教授を評価して書き込むシート(無記名)が回ってきました。
質問で印象的だったのは、毎回「この教授は授業の中で、多種の異文化の違いについて触れたか?」
という質問項目がありました。
つまり「何々に関してはアメリカはこうで日本はこうでその理由はこうで」
と話題にしないと減点になるわけです。
これは学校の教育方針を教師に行わせる指導の枠組にもなります。

 スマホで瞬時に出てくれば、人気コンテストみたいで教授の授業戦略はかわるでしょう。
昔は「わかりにくいけど我慢して聞いていればだんだん身について役に立ってくる授業」
というのがありましたが「面白くなくて役に立たない授業」も多かったのも事実です。
最初は「面白いけどそれほど役に立たない授業」でもいいんです。興味さえ持てば自分で勉強しますから。
「聞いてて面白く、一生役に立つことを伝える」理想の授業にしていって欲しいと思います。

 この生徒による教授の評価システムは功罪ありますが、授業を変えてくれるでしょう。

●石の上にも3年

前回「馬場先生のおかげで今の自分がある」ということを長々と書きましたが、
「ここで3年間辛抱した」ということがセットになっています。

3つの偶然が考えられます
1.私が世帯主で早く確実に社会的基盤が必要だったこと
2.それまで5つぐらい職業を経験したこと
3.休みの日曜日には、別の生活があったこと

 1.の世帯主は17歳で生活保護が切られ病気で働けない母親を養う必要があったことで、
辞めたくても辞めにくい事情がありました。
「今月末には辞めるぞ」と思っていても、月末にお給料を現金でいただくと、
そこはゲンキンなもので「あと一ヶ月頑張ってみるか」となりました。

 2.の他の職業経験は、土方、沖仲仕、運転手、新聞店(日経)の店員、牛乳店(森永)の店員などです。
アルバイトとかではなく、すべてフルタイムです。
最後の、牛乳店などは朝の4時起きて配達、昼過ぎ3時ごろ店にもどってきて、
次の日の商品を冷蔵庫に入れる手伝いと、客が家にもどった夜に集金に回るので、
年中休みなしの16時間労働です。
(私が生れた年に労働基準法ができたけど当時だれも気にしてませんでした。)
つまり、どんなにデザイン修業が苦しくても、
土方といいながら鳶のように高いところにあがって命懸ける必要がないぶんマシ、
デザインで死ぬことはない、少なくとも今自分は本流を進んでいる、
と考えることが出来たからでしょう

 3.日曜の休みには別の生活も大きかったです。
日曜日はずっとボランティアしていましたから。
もともと私の家が「ビンセンシオ・ア・パウロ会」の訪問援助対象家庭でした
子供の頃からこの会にずっと助けてもらったこともあり、
大人になって援助する側で活動していたのです。
ここの先輩達によく遊びに連れて行ってもらいました。

・・・とここまでは実は前置き
 馬場デザインに入って1ヶ月して「やめよう・・・いつやめようか」と考えました
ボランティア会にいつも可愛がってくれる先輩がいて、
よく夜釣りに連れて行ってくれました。
車の中で「辞めようと考えているんですよ」というのを黙って聞いてくれ、
暗い中で釣り糸をたれながら「石の上にも3年というからな・・」と独り言のようにぼそっと一言。
「そうか3年か」と思って石の上に3年というメドができました。
工業大学を出たその先輩は、家業の○○○クリーニングの仕事をしていて、
今では兄弟でチェーン展開しています。

 それ以来「3年は我慢しろ」私の信念になっていて誰にでも言っています。
現実は大卒が3年以内に30%がやめ、高卒が40%、中卒が60%も辞めるんですね。
(2010年 厚生労働省調べ)
中卒の3年間は体力作りになるし
高卒の3年間は根性作りになるし(当時の私の場合)
大卒の3年間は根性+社会仕組み見学になります

レビンソンは
・成人への過渡期(17〜22歳)・おとなの世界へ入る時期(22〜28歳)
・30歳の過渡期(28〜33歳)・一家を構える時期(33〜40歳)
・人生半ばの過渡期(40〜45歳)・中年に入る時期(45〜50歳)
・50歳の過渡期(50〜55歳)・中年の最盛期(55〜60歳)
そして老年期(60歳〜)と4〜5年周期でわけていますが
また、一方レビンソンによると、例えば結婚するといったように、
同じ生活構造は7年以上続かないとしています。

 だから仕事始めの若いうちの3年間は重要だといえます。
歳とれば取るほど仕事の転機と生活の転機(子供の高校入学)といったことが重なって、
修業しないまま中年期を迎えることになってしまうのです。
時々若い人の職業指導をしますが「実は結婚する彼女がいるんです」と言われたら、
指導の内容をかえざるをえません。
有名な、シスター渡辺和子の「置かれた場所で咲きなさい」がちょっと現実離れして聞こえるのは、
実際は、仕事のサイクルと生活のサイクルがなかなかかみ合わないからですね。
しかし、あるステージで、癇癪起こしている人には歯止めにはなるはずだから、
せめて「3年は置かれた場所で咲きなさい」に変えていただきたいところです。

●会長・島耕作

セブンイレブンで「会長・島耕作」見つけ、懐かしくて買ってしまいました。
「課長・島耕作」も、会長まで出世したかと、カンひとしおです。
調べたら『部長・島耕作』『取締役・島耕作』『常務・島耕作』『専務・島耕作』『社長・島耕作』
と着実に出世をされ、とうとう会長にまで。
もちろん部長になったのも社長になったのもしってはいました。
漫画のタイトルも、会長だけあって筆文字になっています。
一流企業の会長ともなれば、当然財界活動に入るようになっていて、
経団連とかいう話が出てきますそれはそれで面白い流れです。
最後は『経団連会長・島耕作』で終わるかもしれません。
ところが、スターワーズの「ルークのお父さんは実はこんな人だったと」みたいに話を逆行させて、
『ヤング・島耕作』『係長・島耕作』『学生・島耕作』まで出ているということで、
弘兼憲史さんは当分仕事はには困らないですね。
島耕作とは年齢が近いので何か人生を一緒に歩いている感じです。
彼は雲の上の人になっちゃったけど。


●自己実現

自己実現とよく使う人に「自己実現って何ですか」と聞くといろんな答えが帰ってきます。

辞書で調べると
1 自己が本来もっている真の絶対的な自我を完全に実現すること。
2 転じて、自分の目的、理想の実現に向けて努力し、成し遂げること。
とありますが、皆さんそれほど考えないでないで使っています。
もちろん私もそうですが。

 心理学でもよく使います。
たとえばカール・ロジャーズという心理学者は「人は自ずから自己実現傾向がある」と言っています。
人はほっといても(じゃまさえなければ)自分が心の中のどこかで欲している、
より正しい高い良い方に向う本来の性質を持っているというものです。

 目標を達成したら自己実現したことになるのか?
目標の後には次の目標がありますからどこで止めるのか?
成功したといってもその上の成功が控えていますし、
ノーベル賞もらえるわけではないし、
島耕作のように会長しながら経団連で活躍できるわけでもない。

 実はこの文章書き始めた時はこのことについて語る気力があったのですが、
ぎっくり腰で落ちているので適当におさめて宿題にしておきます。
 
 何となくこれが自己実現かなとわかるのは、
「今自分は与えられた才能や適正や使命の本道を歩いているようだ」
という感覚のような気がします。
自分の適正を自分でメドをつけてその方向に自分で歩いている感覚かもしれません。
赤塚不二夫の名言「これでいいのだ」と言える経験が、
自己実現に限りなく近いのではないかと思います。


●雪かき・農作業、ロボ任せ IT活用、高齢化にらむ

こたつに居ながら雪かきができます──。という
自動雪かき機の記事が出ていました。(1・27日経)
ロボットに遠隔操作で雪かきをさせようというアイディアです。
夜中に寝ている間、掃除機の「ルンバ」ように勝手に近所中の雪かきをやってくれるといいですね。
他にこの会社は、農作業や医療や介護用のロボットも開発中で、
日本の高齢化や少子化を、ロボットで凌げるという希望が出てきました。

●個性のるつぼ・東京

ニューヨークは「人類のるつぼ」と言われていますが、東京は個性のるつぼといえます
東京都知事選挙の選挙広報が新聞の間に挟まってきましたが、
候補者16人が割り当てられたスペースの中で精一杯主張しているわけです。
この個性の豊かさはすごい、東京の縮図です。
出願順だと思いますが、最初の人は全部ボールペン(おそらく)の手書き文字です。
毎回お馴染みの発明博士もいらっしゃるし、商売で成功している若い人もいます。
主義主張も様々で「原発を今すぐ廃止」「東京オリンピックを返上」「一千万人の怒りでアベ倒そう!」
「日本とマレーシアの虹の架け橋・都民再生へ!!」とあるので、なんだろうとよくよく見たら、
カジノ産業を東京に誘致という内容でした。
ご自分で「へんな日本人」とキャッチフレーズをつけていました。
映画「12人の怒れる男」の個性が、霞むぐらいの強烈なおじさん達です。


●夢と試験の点数の関係

 毎年20日の頃には、センター試験の解答が新聞に出ます。
同時に各受験塾のあやかり広告も出ます。
どうもこの業界はコピーの使い回しをするようで、
駿台予備校は毎年「第一志望は、ゆずれない。」です。
河合塾は今年も全15段広告の真ん中に一行
「自分の夢まで、自己採点しないでください。」ですから、
よほどこの言葉がお気に入りなのでしょう。
前も書きましたが「自分の夢まで、自己採点しないでください。」という言い方は気にいりませんね。
つまり「成績しだいで夢が拡がる」という文脈だからです。
親が子供に良い学校に行かせようとする最大の理由は「それだけ選択肢が広がる」というものです。
良い成績であれば、将来どの職業にも例えば医者や弁護士にもなれるということらしいです。

 反対に成績が悪ければそれだけ職業選択が狭まるという誤解があります。
韓国の親があんなにヒステリックになって子供の受験に情熱を傾けるのは、
良い学校に行けば、身分が高くなる、と勘違いしているからです。
文化的に科挙の風潮がまだ残っているようです。

 「労働省編職業分類」によると日本における職業の数は、
2万8千種類もあるのにばかげた話です
例えば、野口英世やシュバイツアー博士のように
「人を病気から救いたい」という目的で医者になるのは結構なことです。
一度子供の前で2万8千種類もの職業カタログを拡げて、
どれが向いてそううか?楽しそうか?話し合ったら良いですね
いままでどんなことでほめられてうれしかったかとか、
出来たときに嬉しかったかとかそこから始めます。
これはサビカスのキャリアコンサルタント理論のなかの、
「キャリア・ストーリー・インタビュー」というちゃんとした進め方なのです。
「何がうれしかった?」「なにやっているときに我を忘れる?」という会話は、
専門家じゃなくて親でもできますよね。
その後にその仕事に国家試験があるのだったら、
それに見合った学問を目指せば勉強にも身が入るでしょう
無理して大学に入学した途端にスチューデントアパシー
「student apathy=学生無気力症」になることもないでしょう。

 だから予備校の商売柄とはいえ、
試験の点数と夢を一緒に語って欲しくないというのが私の考えです。
試験の良し悪しで(入れる学校で)夢が広がったりしぼんだりするのを、
広告で思い込みを強化するのはおかしい。親の考え方に迎合し過ぎ。
予備校が一段とバージョンアップするのはこの職業教育視点の導入です。

 文科省もやっとそのことに気がついて、スクールカウンセラ制度のように、
キャリアコンサルタント制度を学校に取り入れようとしていますが、
予備校の考え方がまだそこまで至っていません


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