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W_e_e_k_l_y__D_e_s_i_g_n__J_o_u_r_n_a_l______________________________
目次 0 ・・・・・・まくら 1 ・・・・・・デザイナーを力づける、視覚伝達優位説 2 ・・・・・・モデル撮影会と写真のタイトル 3 ・・・・・・知らない間に進化続けるデジタルカメラ ===================================================================== ■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ まくら ■ ■ ■ ■ ■■ ●タクシーに乗ったら頭の後、つまり耳元でピンポーンとなって 「安全のためにシートベルトをお付けください」という日本語の後、 英語でアナウンスされたので飛行機気分になってシートベルトをしました。 「皆ちゃんとしますか?」と運転手に聞いたら、 「10人中9人はしません。高速に入ればお願いするんですが」ということでした。 ●試験その2 前回、試験のことを書きましたが 大分の教員汚職の改ざんで不合格になった可能性のある22人の追試験のことが 10月21日の日経に出ていました。全員合格。 本来なら20人に1人と難しい試験のはずなのに22人全員が合格です。 試験内容は面接と論文だけでこれじゃあ調整可能です。 たとえ不正が疑われようと一旦身内になった人達だからということか、 教育委員会は身内贔屓というのが感じられる結果です。 「救済試験」(たぶんマスコミ命名)という名称が良いですね。 本来試験は絞る(落とす)ためのものですから目的がまったく逆です。 救済には、22人の先生方当人だけじゃなく、生徒と父兄とそれに教育委員会自身も、 含まれているのかもしれません。 ●振り込め詐欺撲滅月間 あっちこっちのATMに警官や職員が立っています。 振り込もうとしている人に注意するためです。 月間中間の15日までで被害は半分に減ったそうですがそれでも1億2千8百万円。 足立区の無人ATMでお巡りさんが「詐欺かもしれないから、おやめなさい」と 忠告したにも関わらず「警察には関係ない」と言って、 130万円を振り込んだ59歳の女性もいます。 お巡りや職員の注意を聞かずに振り込んで詐欺に遭った、 同じようなような人が他に11人もいたそうです。(10.21日経) 警官よりも詐欺師のほうが信じ込ませる力があるということですね。 ●キャスター付きキャリーバッグ 最近キャリーバッグをあちこちで見ます。 地方からセミナーに出てくる友人は、 中に参考書やパソコンを持ち歩くから皆これです。 キャスターも昔はガラガラ音がしてすぐ壊れたのに今はスムースで頑丈になりました。 昔はキャリーバッグは移動するプロの道具でした。 スチュアーデスやパイロットが空港内を引っ張っていると「おーっプロ」と感じます。 新幹線の運転手や客室乗務員の女性も黒のおそろいのキャリーバッグです。 バックパックを背中にしょったまま乗ってくる乗客にはぶつけられて困りますが、 キャリーバッグも後ろ手に引っ張るから同じトラブルが起きます。 ぶつかって「危ないじゃないか」といった客同士のとのトラブルが増えて、 JRも困っていると10月21日日経に出ていました。 これ以上横に広がったサイズにしないことと、 後ろ手で引っ張らずに横で押せるようにすれば衝突事故は減るはずです。 車輪を大きくすればスイスイ動くようになりますが、 こんどは転がりすぎて別の危険性がでるので、 ハンドルを放したら止まるようにするといいでしょう。 といったことはメーカーはとっくに考えて研究されているでしょう。 //////////////////////////////////////////////////////////////////////////// ■■ ■ ■ デザイナーを力づける ■ 視覚伝達優位説 ■ ■ ■■■ 「五感のなかで視覚伝達つまり見た目の訴求が一番影響力がある」という デザイナーが後生大事にしている仕事の拠り所理論が「視覚伝達優位説」です。 「デザインは効果が高い・・・だからデザインにお金をかけよう」 「素人にホームページ作らせたら損でっせ」という理屈の根拠で、 「あの本にもこの本にも視覚伝達優位(視覚情報は他の感覚の総合の65%など) と書いてあり、諺にも『百聞は一見に如かず』と言うじゃないですか。」と言ってきたわけです。 私の二冊の本にも「○○先生の本の『広告の○○○』にそう書いてある」と書いています。 しかしある日、知らない学生からメールで 「視覚優位説の正しさを証明するデーターはどこにあるのか?」と聞いてこられ 「知らないゴメン」と答えたことがあります。 それ以来「まぼろしの理論」として、ずっと気にはかけてきているんですが・・・・ 1999年に画像評価装置の会社のCIの仕事をしました。 人間の目に代わってテレビの写り具合を24時間自動で監視する装置で、 「あっ画像が乱れた!とか色がおかしい!」と人間並みの目と脳を備えていなければなりません。 ○○社長がその道の権威だというので、チャンスとばかり視覚伝達優位説について聞きました。 「我々の脳科学の世界では90%以上が視覚伝達と言われている」とこともなげに言われるので 「そ、そ、その証拠データーをくださいっ!!!」と言ってそのままになっています。 ○○社長は日本有数の電気通信会社○○○○からスピンアウトした科学技術者で、 アメリカの国際エミー賞(技術部門)はじめ日本エレクトロニクス技術賞受など4つの受賞と、 国内外で31件の特許取得(または申請中)の学者だから、いい加減な人ではありません。 視覚伝達優位説の実験 イギリスの科学者、トマス・ヤング(1773年〜1829年)は面白い実験をしています トマス・ヤングはエネルギー (energy) という言葉を最初に用いてその概念を導入した人です。 「ヤング・ヘルムホルツの色の三原色説」のヤングです。 視覚伝達優位説をどうやって実証したか? まず、実験のために、音源とは逆の方向から音が聞こる「迷聴器」を作りました。 その「迷聴器」を実験する人達に18日間つけさせて(現在はこんなこと許されないでしょう) 聴覚を混乱させた後に音を聞かせて「さあ今の音はどっちから?」と聞く実験です。 目をつぶった状態(聴覚のみ)と目を開けた状態(視覚が伴う)で比べます。 目をつぶったままの人に聞くと、右で鳴らした音は左から聞こえてくるので「左」と答えますが、 目を開けて見ていい人は、右で鳴らした音は左から聞こえてきますが、 じっと音源を注視した後「右」と答えたというのです。 音を鳴らしているという視覚ヒントはゼロにしたはずです。 目を開けて聞いた人は、音は左から聞こえてくるが(聴覚)、 見た感じどうも右からのような気がする(視覚)ということで右と答えた。 つまり聞こえた方向よりも見た目の方を信用したということで、 「その他の各感覚器官からの情報は、視覚からの情報により統合されていると言える」 とヤングは結論づけたのでした。 視覚と言っても、明るさの知覚、色の知覚、大きさの知覚、運動の知覚、 距離の知覚、奥行の知覚というように、多くの下位機能が含まれていて それらも総動員して判断するわけです。 メラビアンの法則 心理の勉強中この理論に出会った時に「やった!これだ!」と思いました。 セラピストのための法則ですが、デザイナーにとっても非常にうれしい法則です。 「メラビアンの法則」はアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した法則です。 面談したとき情報は、何を通じて相手に伝わるか? 言語情報(話の内容)・・・・・・・・7% 聴覚情報(口調や話の早さ)・・・・・38% 視覚情報(見た目)・・・・・・・・・55% の割合だったというのです。だから「7ー38ー55のルール」とも言います。 言語情報(話の内容)は7%しかないというのが驚きですが、 多少無茶でも「見た目が一番」に利用できます。 「話の内容よりも喋り方のほうが重要」は、 就職活動の面接対策セミナー、営業セミナー、自己啓発書、 話し方教室などよく使われ先日の明治大学のマーケッティング・プレゼンの講義でも 前の先生も私もダブって使ってしまいました。 100万部を超えるベストセラーの『人は見た目が9割』2005年 竹内一郎著 はメラビアンの法則をベースに使った本です。 メラビアンの法則は、心理相談で感情や深い意味についてやり取りする場合用です。 例えば「金の交渉話」になると言語情報(話の内容つまり金額)が90%にはね上げがります。 好いた惚れたの「恋愛話」となる言語情報(言葉なんかいらない)は0%かもしれません。 恋愛も当初は見た目100%からはじまる人も多いでしょう。 デザインが関わる広告・広報といった状況範囲は 「お金の話」よりもどちらかといえば「恋愛話」に近いので 視覚情報伝達はもっとパーセンテージが大きくなります。 余談ですが・・・・・ 「○○○○の法則」というのは「その分野の専門家が一様に納得している」という意味で、 相対性理論ぐらいの権威があります。 「○○○説」というのも似たようなもので、その道の権威が一生をかけて唱えた論のなかで、 特に際立ったものは「○○○説」と呼ばれ末長く引用されます。 「血液型による性格分類説」のように後の研究者によってくつがえされ、 研究の中では取り上げられなくなるものもありますが、 後の研究で「ちょっとズレていた」という場合でも、ユニークな問題提起したものは、 あの時代にあの説を唱えたことは時代的、社会的に意義があった、 ということで「○○○説」としてずっと残る場合もあります。 話はまたちょっとそれますが・・・・ 以前、CI学会(名称は違う)で同業者(競合でもある)の○○社長(企画の人)が、 「デザイン伝達優位って言うけどそれほどのもんか?」ということで調査分析したところ、 意味伝達(意味のある内容を読ませたり言って聞かせる)と伝達効果はそれほど変わらず、 むしろ意味伝達のほうが効果が高かった、という発表をされたんですね。 半分冗談という感じでしたが、あんまり大声で言われたら困るなと思いました。 伝達影響力(つまり理解して記憶して行動の引き金となる力)のアンケート調査は エピソード記憶、短期記憶の顕在記憶のレベルまでしか上がって来ないので、 この手の調査の妥当性はあまり高くないといえます。 デザインは潜在意識まで立ち入るイメージ訴求ですから証明が難しいわけです。 デザイナーはこれまでどうり「デザイン力を信じる人だけが救われる」と 言い続けることになるでしょう。 次回予告 視覚伝達優位の中で「全盲の人は情報を受けるうえで不利になるのか?」となりますが、 「視覚の圧倒的な優位は近代以降のことであり、近代以降でヨーロッパ中世では聴覚優位だった」と 中村雄二郎先生が「共通感覚論」(2000年、岩波書店) に書かれていているように、 五感の全ての感覚でカバーするので見えてない人よりも見えているということが可能になります。 そのことは見えない聞こえないヘレン・ケラーが証明しています。 次回気が向けばそのことについてのべます。 /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// ■■■ ■ ■ モデル撮影会と ■■■ 写真のタイトル ■ ■ ■■■ モデル撮影会を趣味にしている人には悪いですが・・・・・・、 名所などでモデル撮影会と出くわすと私はその場から逃げます。 女性の周りにおじさんたちが迫るように囲んでなにか異様な雰囲気で、 なにか恥ずかしいものを見てしまった気分になるのは、 私の無意識の願望(一人で近づきたい)の裏返しかもしれません。 作られ磨かれた綺麗な女性(撮影モデルさんのこと)よりも 自分の周りで生活(仕事)している女性達の綺麗な瞬間を切り取ったほうが ずっと美しい芸術写真がとれると思うのですが、そうはいかないんでしょうね。 「美しい自然を背景に綺麗な女性を撮りたいのだ」ということかもしれません。 背景または舞台とはいえ、庭園や公園(人の手でまとめられた自然)と モデル女性(化粧とファッションでまとめられた生物)と組み合わせはそれはそれで マッチしているといえなくもありません。 それにしても、コンテスト写真のタイトルは何とかならないものでしょうか。 「ひとみ」「視線」「想い」「風」「潮風」「静寂」「輝き」ならまだしも、 「すぎさりし想い」「恥じらい」「乱れ髪」「風のたわむれ」「香りに魅せられて」 「昨日のように」「揺れる想い」「ドラマチック」「ときめく夏の日」 「見ないでー」「小悪魔のように」とかなるとムズムズします。 何かタイトルつけとかないと他の作品と混同するからで 「ポーズ」「ポートレート」という無難なタイトルはたくさんありすぎるのでしょう。 「抽象画」と具体的内容あるいは詩的なのタイトルは補完しあってマッチしますが、 具象画よりももっと現実を写し取る写真は、タイトルの意味と軋み音を出します。 むしろ通し番号「○○(撮影場所か大会の名称)の○○番」の方が良いかもしれません。 見た人はそれぞれ自分の印象をもつわけですから「すぎさりし想い」「恥じらい」と限定されたら、 雑音として観賞のじゃまをするわけです。 /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// ■■■ ■ ■ 知らない間に ■■■ 進化続けるデジタルカメラ ■ ■ ■■■ カメラといえばデジカメになってしまいました。 さすがにフィルムカメラかどっちかと迷う人はいないでしょう。 ひさしぶりにヨドバシのデジタルカメラ売り場をのぞいたら、 売り場は拡がり商品は溢れ新製品の花盛りです。 日本ではそろそろ成熟商品です。 本来のサイクルならば価格競争に移ってもおかしくないのですが、 そこは日本人の新しもの好きと、もの良し悪しに厳しい性格が、 「価格を据え置いてもいいから各社競ってもっと良いものを作れ」と 商品(メーカー)を育てています。 日本人は商品を磨くにはとてもよい相手です。 まだ世界の需要が待っていて、すでに日本製デジカメが世界を席捲しつつあります。 デジタルカメラの競走種目は、 軽量化と、望遠レンズのズーム比と、写り具合と、おまけの新工夫です。 軽量化は計るわけではないのでもっぱら見てわかる「薄さ」を競います。 望遠レンズのズーム比がいくら大きくてもワイドが28ミリないと不便です。 写り具合にしたってボケ味とか自然な感じはかわかりにくいので画素数を競います 後は新工夫ですが、手ブレ防止はもう当たり前で、 カメラが人の顔を認識してその部分の露出を計り綺麗に撮れるもの、 笑顔に反応してシャッターがおりて、目をつぶったらシャッターがおりないものなど、 次々に各社が便利さを加えすごい(こっちは楽しい)戦いです。 画素数は、一眼レフじゃない小さなカメラでもいつの間にか千万画素は超えていて 1470万画素とというのもあります。 私が最初買ったデジカメはカシオの35万画素で、その42倍きれいに写り、 値段はほぼ同じですから、長生きはするものです。 私は4年前に買った600万画素の、初代 Ricoh Caplio R4を使っていますが 当分これで満足しています。 ==================================================================== 購読申込・購読中止は以下で可能です。購読は無料です。 http://www.praxcis.co.jp/deja/ ==================================================================== メールマガジン「週刊デザインジャーナル」(mag2 ID=0000014473) 発行元:プラクシス株式会社 http://www.praxcis.co.jp/ 『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ 発行者:進む原田 susumu@praxcis.co.jp ==================================================================== ・・‥……………………………… (c) 2008,Susumu,Harada ……………………………‥‥・・ 文責:進む原田 (susumu@praxcis.co.jp) |